「銀の薔薇」と「ヴィーナスの微笑み」

「花より男子ファイナル」で重要なモチーフとしてあつかわれているのが、
「ヴィーナスの微笑み」と呼ばれるティアラ。

実は…オペラでも同じような意味を持つアイテムがございます。
それが、「銀の薔薇」です。リヒャルト・シュトラウスのオペラ「薔薇の騎士」で扱われるアイテムです。

このアイテムは18世紀ウィーンの貴族社会にあったとされる(実際には作家ホーフマンスタールの
創作です)、結納の儀式で使われるものです。オペラでは、「永遠の愛」を象徴するアイテムです。
これを贈ることで、結納が成立するという話なのですが、オペラでは、オックス男爵(どーしよーも
ないスケベ親父)の使いとしてこの「銀のばら」を届けたオクタヴィアンが、オックスの婚約者である
ゾフィーというお嬢さんと恋に落ちる…という展開になってしまいます。

では、この場面につけられた音楽を聴いてみましょう。名盤の誉れ高き、1960年のザルツブルグ
音楽祭からです。オクタヴィアンはセーナ・ユリナッチ、ゾフィーはアンネリーゼ・ローテンベルガー。
最近ではこのオペラも現代的な装置による上演が増えましたが、私はあえてそれに異を
唱えたい。クラシックなプロダクションこそがこのオペラは売りですよ。


オペラにおける象徴を扱った本(確か邦訳はされていないはずです)で、このばらは
このオペラでは絶対に成立しない「永遠の愛」を扱っている、といっていました。
なぜなら、このオペラでは「永遠の愛」なるものは、誰の間にも存在しないから。
このばらを結納のしるしに贈ったはずのオックス男爵とゾフィーは婚約破棄しました。
オペラの影の主役たる元帥夫人(マルシャリン)も、夫元帥とはうまくいっていない。
唯一、オクタヴィアンとゾフィーが恋に落ちて、結婚することが暗示はされますが、
この二人だって、そう簡単に幸せにはならないだろうな、とみている私たちはわかるわけです。

「花より男子」よりかなり辛口ですね。道明寺とつくしは幸せになったのですから。

そう考えると、結婚の際に「永遠の愛」を象徴するアイテムをなんとかして入れて、
幸せになりたい、というのは万国共通なのかもしれません。「銀のばら」も「ヴィーナスの微笑み」も
意味するものは同じですから。

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